概要

背景
大学での産科・婦人科教育において新たな教育方法の導入が推奨されてきた。肩甲難産を想定したHigh-fidelityシミュレーションは、有資格の産科スタッフのスキルを向上させることがすでに証明されている。そこで、このシミュレーションが医学生のスキル向上にも有用であるかどうかを評価するため、今回試験を行った。

 

方法
医学生24人が対象となった。トレーニングは、24人全員を対象としたhigh-fidelityシミュレーションによる教育セッションと、この24人を2群に無作為に割付して行う再教育セッションとで構成された。再教育セッションでは、半数が少人数チュートリアル教育(small-group tutorial:SGT)に参加し、残りの半数が患者役の俳優を用いたシミュレーションセッション(ハイブリッドシミュレーション:HYB)に参加した。トレーニング終了後、生徒らに肩甲難産を模擬した児の娩出{じ べんしゅつ}を行うよう求めた。実技スキルを評価し、SGT群とHYB群とでコミュニケーションスキルの比較を行った。主要評価項目は、コミュニケーションスコア(妥当な評価尺度にて評価)とした。副次評価項目は、児娩出を適切に行う能力とした。

結果
トレーニング後、すべての生徒が適切に児娩出を行うことができた。患者の認識に関する総スコアの中央値は、HYB群のほうがSGT群よりも有意に高かった(11回のシミュレーション学習vs.9回のチュートリアル学習、P = 0.0239、Mann-Whitney検定)。


結論
High-fidelityシミュレーションは、トレーニングおよび学習成果の評価の手段となり得る。また患者役の俳優を活用したシミュレーションは、生徒のコミュニケーションスキルを向上させることができる。今後の研究では、この学習方法が実際の患者との良好なコミュニケーションにもつながるのか評価を行うことが必要である。