1855年に設立されたフィラデルフィア小児病院(CHOP)は、世界有数の小児病院および研究施設の一つとなっている。国内最初の小児病院であり最大の小児医療ネットワークでもあるCHOPは、3つの州(ペンシルバニア、ニュージャージー、デラウェア)に施設を有している。この病院は何年にもわたり小児科専門医を輩出するその質の高いトレーニングと、米国立衛生研究所助成金額が第2位にランクインするその先駆的研究戦略で高い評価を受けている。

シミュレーショントレーニングの対象を拡大

2005年11月、CHOPは患者の安全と患者ケアの質を向上させるという使命を果たすため、施設全体のチームパフォーマンスとコミュニケーションスキルの向上を目的とした医療シミュレーションプログラムを開始した。この時の主な受講者は小児集中治療室(PICU)のスタッフだった。初年度にはシミュレーションプログラムの成功により、新生児集中治療室(NICU)、循環器集中治療室(CICU)、救急搬送チーム、小児科卒後研修プログラムを含む他の多くの専門領域においても「チャンピオン」を生み出す動きとなった。

CHOPは医療シミュレーションを臨床教育を強化するための効果的な学習ツールとして採用した。タスクトレーナ、患者シミュレータや標準模擬患者を組み合わせて活用することにより、スタッフは手技の認識、メンタル管理および行動といったスキルに加え、チームパフォーマンスも向上させることができた。Simulation, Advanced Education and Innovationセンターのシミュレーション教育者Roberta Hales MHA, RRT-NPS, RNは、「スタッフは通常の治療に関連するタスクを訓練できることを楽んでいるようです」と述べた。

プログラムの一環として行われるシミュレーションセッション:

       2ヶ月に1回/1ヶ月に1回のフェロー・セッション

       年4回の特別分娩室(SDU)トレーニング

       多職種チームトレーニング

       看護スキル・フェア

       中心静脈・臍帯ライン確保トレーニング

       基礎・上級向け確保困難例の気道管理セッション

特定された患者ケアにおける問題点を解決する

シミュレーションセッションのいくつかは、施設内で実際に体験された問題症例を基に構成されている。これら実際の症例をシナリオシミュレーションで再現することにより、スタッフはうまくできた部分と、今後改善が必要な部分とを把握することができる。

この病院では導入以来、異例の速さでシミュレーション教育の拡張がなされてきた。CHOPは現在、PICU、NICU、救急外来、循環器ICU、SDU、新生児・産科、胎児外科、外来、麻酔科レジデント、外傷、習慣管理、鎮静と看護を含む多くのプログラムを実施しており、このほか1~2日規模のコースとしてPICU・NICUブートキャンプ、耳鼻咽喉科異物対応コース、循環器シミュレーション前カンファレンス、鎮静処置提供者・麻酔科カンファレンス、オペレーション・スマイル(Operation Smile)などコースを設けている。