学生チューターを務めたのは4年生の16名で、教わるのは2年生から4年生の計21名。救急蘇生、内視鏡、腹腔鏡、心エコー、聴診の5つのブースを回りながら、基本的なスキルが身に付くように企画された。

 

 

 

ピア・ラーニングの始まりは、約2年半前、外科医をめざす一人の学生(当時4年生)が、「自主的にスキルトレーニングができるよう、シミュレータを使わせてほしい」と学校側に願い出たことによる。このとき、アクティブラーニング(学習者の能動的学習)の高い教育効果を理解していた五十嵐寛シミュレーションセンター長が、当時の病院長に掛け合い、使用条件を定めて、学生のシミュレータ使用許可を得ることができた。

 

    

 

症例をもとに実践トレーニング

 

「60歳男性。胸部にこれまで経験のない痛みを感じたため、来院。胸痛発生からすでに2時間が経過。待合室で意識を失った」

 

救急蘇生ブースでは、症例の提示とともに実践編が始まった。

 

目の前で倒れた患者を発見した学生が、患者(患者シミュレータ:SimMan 3Gを使用)の肩を叩きながら声をかける。「大丈夫ですか? 大丈夫ですか?」。意識がないことを確認したところで、大声で応援を呼ぶ。駆けつけた仲間を院内スタッフに見立て、「ハリーコールと、除細動の準備、救急カートをお願いします」と指示を出し、すぐさま、胸骨圧迫を開始する。スタッフが戻ると、除細動、バッグバルブマスクによる換気が行われ、BLSのアルゴリズムどおりに蘇生が行われていく。バッグバルブマスクによる換気の際には、学生チューターや受講生たちがシミュレータの胸の高さまで屈んで、胸のあがりを確認する。

 

    

 

活動成果を日本医学教育学会で発表

HMSTの活動は、2013年から学会発表している。今回は、Peer Learningの実施前後にプレテストとポストテストを試みた。Peer Learning教育効果を客観的に評価し、7月に開催される日本医学教育学会でポスター発表する準備は、着々と進められていく。

 

Voice (チューターからの声)

 

伊藤  静さん(HMST代表、学生チューター 4年生)

私は、社会人経験を経ての編入学生のため、学生のうちにできるだけしっかりとしたスキルを身に付けて、即戦力の医師になれるように励んでいます。シミュレーションはそのためにも有効だと考え、HMSTに関わるようになりました。

 

鈴木  理香さん(学生チューター 4年生)

 人に教えるということは、私自身が理解していなければ、参加してくれた人たちにうまく言葉にできないと考え、手技のトレーニングも含め、しっかりと準備を進めてきました。この経験が自分自身の大きな学びになりました。授業以外にシミュレータに触れる環境を更に活用していきたいと思います。

 

Voice(参加者からの声)

 

参加者A(3年生、男性)

入学直後にBLSを経験したことはありますが、高機能シミュレータを使用した講習を受けるのは初めてで緊張しました。アドレナリン投与のタイミングなどを学べた点が勉強になりました。

 

参加者B(3年生、女性)

将来、救急医の道に進もうと考えていることから参加しました。臨床現場で必要な救急蘇生の基本が学べて、よい機会になりました。