シナリオトレーニングで6つの急変事例を体験

 

「ひぃ~、ひぃ~、ふぅ~~、ひぃ~、ひぃ~、ふぅ~~」

出産シーンから始まったデモンストレーションは、しばらくして、母体の顔面蒼白、虚脱症状、産後大出血といった急変の徴候が確認されたにもかかわらず、医療スタッフの対応のまずさから心肺停止となってしまった。

 

日本の妊産婦死亡は、年間約50例、2万出産に1例程度で、先進国の中でも優れた成績を残している。つまり、冒頭のような場面に出くわすことはめったにない。しかし、ひとたび遭遇してしまうと、めでたいはずの出産が大きな悲しみに包まれる。産科医、助産師、看護師は、母体の安全を守るため、重大な責任を負っている。

 

先進国最高レベルの成績をさらに向上させるには、母体急変の第一発見者となる助産師や看護師、産科医が母体の蘇生法をしっかりと身に付けておく必要がある。そこで、周産期医療関係者に母体救命法を普及させることを目的に設立されたのがJ-CIMELSである。

 

ベーシックコースのプログラムは、産科急変プロトコールの概説、BLSの基本手技の練習、複数のシナリオトレーニング(シミュレーション)からなり、シナリオで用いられたのは、実際に京都の産婦人科で遭遇した「羊水塞栓症」「肺塞栓症」「子宮収縮不全」「ショック」など6つの症例で実施される。

出産直後の母体には、ショックの5徴候に挙げられる「皮膚・顔面蒼白」「発汗・冷や汗」「肉体的・精神的虚脱」が現れるが、本当の危機なのかを判断し、対応できるよう、参加者たちは、今回すべての症例を体験した。

 

トレーニング前に行ったプレテストでは成果率は50%程度であった。しかし、ポストテストでは90%を超える。マネキンを使った仮想妊婦だとわかっていても、一度経験しておくと、もしその場で同様なことがおきても、母体急変時の対応が大きく違ってくるようだ。

 

受講者の声

「ペーパーテストではできたことが、いざ体験してみたら、患者の急変に頭が真っ白になってしまった。患者シミュレータでよかったと本当に思いました」

民間病院助産師 A.Fさん

 

「急変時の対応をスムーズに行うために、日頃から自分に身につけておくために受講しました。シミュレーショントレーニングは必要だと思います」

民間病院 助産師 H.Nさん

 

「頭で思うことを実際に体を動かすことで理解できる、シミュレーションは、大切だと思います。繰り返し体験していくことが必要だと感じます」

民間病院 助産師  K.Nさん