UPMC(University of Pittsburgh Medical Center) East レポート(1)

※本寄稿文は2012年11月時点の情報となります。2013年3月現在、岩下先生は帰国されております。

岩下寛子先生 獨協医科大学越谷病院救急医療科 医師。現在、WISERにVisiting Fellowとして留学中。

UPMC East の概要

2012年7月2日、ピッツバーグ市オークランドに位置するUPMC Presbyterian(UPMCの本院)から東に約20km(東京−川口間くらい)、高速道路をつかって20-30分ほどのMonroevilleにUPMC East が新規オープンしました。敷地面積約67,500㎡、総ベッド数156床(一般病床140床、ICU16床)、全個室、emergency treatment bays(救急診療室) 22、手術室7を有し、Monroevilleとその以東の医療圏をカバーするコミュニティホスピタルです。現在、当該地域の患者で100人ほどがPresbyterianやShadysideに入院しているそうで、彼らの利便性や本院の供給を上回る需要に対応していくことがUPMC Eastの使命であり、また当該地域での救急患者を迅速に診療し、必要に応じて安定した状態で高次施設(Presbyterian, Children’s Hospital, Magee-Women’s Hospitalなど)に搬送することも大きな役割です。しかしながら郊外であるがためにそう頻繁に、例えば妊婦の救急であるとか、小児であるとかを診療するとは予測されておらず、そういった稀なケースにでも対応できる能力を維持していく必要があります。

WISERの役割

すでにWISERは、2009年のChildren’s Hospital of Pittsburgh of UPMCの移転に際し、同院内のシミュレーションセンターの設置、運用を行っています。今回も、”Patient Safetyの観点から、シミュレーションによるヘルスケアシステムの改善、雇用者の教育は不可欠である”というUPMCの要請により、Children’s Hospitalの経験をふまえ、病院の計画段階からの支援を開始、Emergency Department の一角にWISER centerが設置されました。約60㎡のスペースは、マジックミラーによってコントロールルームと模擬病室に区切られ、模擬病室には病床で使用されているベッドや救急カート、SimMan3G 1体、可動性ビデオカメラ、集音マイク、スピーカー、55インチのディスプレイが備え付けられ、シミュレーションセッションのみならず、レクチャー、ビデオを用いたデブリーフィングセッションもその場で行えるようになっています。WISERは、設備面のほかにコース開催時のSimulation Specialistの派遣、WISERの開発した、コースのスケジューリング、受講者のレジストレーション、サーベイランス、データ集積を行うSIMS (Simulation Information Management System)の提供と運用、シミュレーションコース開発の支援を行っています。

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