その緊張感と講義で習った状況は、まさに現実そのものだった。 しかし、患者はSimMan®で、学生は看護教育の授業の最初の数ヶ月に、このSimMan®を患者として臨床シミュレーション実習に参加したのである。

 

臨床シミュレーションとは、看護の現場で遭遇する状況を模倣して再現することにより、教室の外または臨床の現場において実際の臨床を体験してもらうというシミュレーション教育である。医療提供者、患者およびその家族が登場するシナリオを用いて学生のスキルを向上させることを狙いとしている。

 

「生徒たちは看護師になる方法を学んでいる間にリアルなシナリオを経験したいと考えています」。こう説明するのは、ジェファーソン看護学校で看護基礎と患者安全について教えている講師Kathryn Shaffer RN, MSNである。「臨床シミュレーションは、生徒たちに必要な看護スキルまたアセスメントやコミュニケーションの技能を身につけて実践で活かすための機会を与えるものです」

 

A student talks to a standardized patient portraying the patient's wife.

ジェファーソンの学生らは学期の最初の数週間にはじめて臨床シミュレーション実習を受けた。実習は安全性、倫理問および投薬過誤に焦点が当てられており、これにより「学生たちは不安を取り除くことができた」と
Ms. Shafferは話す。ある一人の学生は、「素晴らしい体験でした。行なうべきあらゆる安全対策について理解を深め気づくことができました」と語っている。別の学生も声をそろえて、「臨床現場の初日に備えるための素晴らしい体験でした」と話している。

 

多少の臨床経験があるとしても、研修医から口頭でのオーダーを聞くといった、卒業して現場に入らないと経験しないような事柄が幾つかある。臨床シミュレ-ションは、安全な環境下で学生たちに様々な状況を経験させ基礎スキルを学ぶことができる。

 

ジェファーソンの学生らは1学期末に2度目のシミュレーションを行なった。シナリオは、患者の救急搬送から手術、退院までを追ったものだった。一般的に学生がこの流れ全体を経験するようなことはない。

学生の1グループがシナリオの異なるステージを行っている間、クラスのほかのグループは、ビデオでその様子を観察しながら教職員主導によりエビデンスに基づいた実践についてディスカッションを行った。

それぞれのシーンが終了した後、各グループはインストラクターと面接し、問題解決のために必要な分野の特定を行った。このディブリーフィングは、個室でプレッシャーを感じない環境で行なわれ、互いに情報交換する場となった。

学生から寄せられた感想の中で、ある一人の学生は、今回の経験は1学期足らずで自分がどれだけ学習できたかを知れ、「トレーニングは本当に楽しかったです」と述べている。さらに改善の必要なスキルを確認するのに役立ったと述べている。他の学生もこれに同意し、実践的なシミュレーション実習の機会をもっと増やして欲しいと述べている。

 

「看護教育において、目標は臨床現場での自信と実践力向上にあります」とMs. Shafferは話す。「シミュレーションが臨床能力の向上につながるのかどうかは分かりませんが、学生たちが看護の概念と自分のスキルを統合させる上でシミュレーションが役立つと感じていることは知っています」