POTとは、ELSTAの専任教授陣が「心肺機能停止を防ぐための救急救命処置こそが救急業務に肝要である」と考え開発した、心肺機能停止前の傷病者に焦点を当てた研修プログラムである。アドバンスコース(救急救命士向け)とベーシックコース(救急救命士を除く救急隊員向け)の2コースがあり、南教授は主としてアドバンスコースを担当し、ベーシックコースは、尾方純一教授が担当している。

POTは、救急搬送を想定した疾患あてゲーム

「65歳、男性。介護施設の部屋で、朝、意識がないところを発見。既往歴・現病歴は不明。天候はやや強い風がある曇りで、室温20℃前後。最近は、階段の上り下りが苦しいと言っていた。隣の部屋の入居者から、数日前から体調不良を訴えていたとの話もある。昨晩、変わった様子はなく、24時前後に就寝」 提示された症例を前に、各グループの代表者は、病態とバイタルサインを再現した高度シミュレータ(ALSシミュレータを使用)を傷病者に見立てて、初期観察(意識レベル・呼吸・顔色の確認)から全身観察(血圧・脈拍・体温・SpO2など)へと進めていく。通報内容と自身の観察結果をもとに、救急要請の原因となった疾患を探っていく点は、通常の現場到着時と変わらない。心音を確認する際には、ほかの受講者もシミュレータに聴診器を当てて確認していく。代表者は一通りの観察を経た後、必要と判断すれば、救急救命処置も実施する。  

  

 

観察が終わると各グループのメンバーが、観察結果について話し合う。その後、疾患名と判断理由をホワイトボードに記載し、病院搬送連絡の際と同様、病態に関する説明がなされた。南教授はその内容をもとに、受講者たちとさらにディスカッションを進め、疾患を導き出したポイントとなる点を指導していく。 POTには41症例がリストアップされており、この日は、直接観察作業を進める代表者が入れ替わりながら、3つの症例をもとに講習した。いずれも南教授が経験した症例がベースとなっている。 

 

 

 

救急振興財団 救急救命東京研修所(ELSTA)  南 浩一郎 教授